2019 年 62 巻 p. 44-50
粉体塗装は溶剤を使用しない為,安全無公害性,塗料回収による省資源性,取扱いが容易で自動化がしやすいという高作業性が認められ,その市場が拡大した。環境問題が世界の問題として認識されるにつれて,世界的規模で地球環境保全への取り組みがますます強化され,環境問題は企業にとって避けて通れない問題である。塗装業界においてもVOC規制に見られるように,大気中に排出する有機溶剤を減らす方法として,粉体塗料化,水性化,ハイソリッド化への移行が模索されてきている。その中でも粉体塗料は無溶剤で回収・再利用する事が出来るので,環境対応として有望な塗料である。粉体塗料は2008年のリーマンショック直後はそれまでになかった落ち込みとなったが,その後は環境問題から着実に伸びてきている。本稿では,粉体塗装の塗装業界におけるシェアや今後の展望,粉体塗装の基本技術やその問題点,Wagner社製品の特長・優位性を含めた最新技術まで説明する。