2024 年 67 巻 p. 34-41
ゼオライトを触媒や吸着剤として用いる場合,ミクロ細孔中の拡散が触媒・吸着現象そのものに影響を与える場合があるため,微細粒子の調製を可能とする技術の開発は重要である。しかし,ゼオライト合成においてボトムアップ法,すなわち核生成と結晶成長の制御により,ナノサイズ結晶(~100 nm)を直接合成することは容易ではない。通常,ゼオライトは水熱条件下で数ミクロン程度の大きさに成長することが多く,これを粉砕により整粒化する方法もありえる。しかしながら緻密な金属酸化物に比べ,多孔体であるゼオライトは機械的な衝撃によりダメージを受けやすい。近年,筆者らは機械的な負荷の少ないビーズミリング法とアルミノシリケート水溶液による再結晶化法を組み合わせた,ナノサイズのゼオライトの新規調製法を提案している(Wakihara et al., Cryst. Growth Des. 2011, 11, 4, 955–958)。現在その対象は,当初のLTA型ゼオライトから様々なゼオライト系に展開されている。