2024 年 67 巻 p. 42-52
酸化物半導体材料は,そのサイズや形状効果が重畳することで優れた特性や新機能が発現する。本研究ではナノスケールのサイズを持つと同時に,ナノチューブやナノシート構造などの低次元構造を付与することで優れた物理化学的・光化学的機能を発現させた酸化チタン(チタニア)ナノ粉末について,更なる光触媒特性の向上や機能付与を目的とした構造チューニングを行った。具体的には,溶液化学的プロセスにより得られるチタニアナノチューブ(TNT)への異種材料(ナノカーボンおよび導電性ポリアニリンポリマー)のナノ複合化における特異なナノ複合構造とその光触媒特性やセンシング特性について述べる。さらに,簡便な化学処理による低次元ナノ構造チタニアの表面化学構造制御による可視光応答性付与について,プロセスと構造,物性および光化学(光触媒)機能の向上など,環境・エネルギー分野や更には次世代型バイオメディカル分野などへの応用展開を指向した最近の研究成果について示す。