ミルクサイエンス
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原報
限外濾過を用いたレッンネットカゼインからのミセル性リン酸カルシウム—カゼインホスホペプチド複合体の調製
中野 智木杉元 康志ヒッシャム R. イブラヒム鳥羽 保宏川上 浩青木 孝良
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2004 年 53 巻 2 号 p. 63-70

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抄録
 レンネットカゼインからミセル性リン酸カルシウム(MCP)をカゼインホスホペプチドとの複合体として調製した。レンネットカゼインを脱イオン水に懸濁させ,トリプシンで加水分解した後,98℃で10分間加熱し,pH を4.6に調整して遠心分離を行った。上澄を pH 9.0に調整した後,限外濾過(Cut-off 30 kDa)で濃縮し,凍結乾燥した。得られた MCP-CPP 複合体は水に対する溶解性に優れていた。MCP-CPP 複合体の組成はペプチド63.1%,カルシウム9.2%,無機リン3.5%,有機リン3.5%であった。X 線結晶解析では MCP-CPP 複合体中にハイドロキシアパタイトの存在を示さなかった。ゲル濾過モード HPLC で分析を行ったところ,MCP 架橋複合体の存在が確認された。MCP-CPP 複合体中には CPP 以外のペプチドが含まれていたが,苦みはほとんど感じられなかった。上記と同様の方法で大量調製を試みたところ,5 kg のレンネットカゼインから1.12 kg の MCP-CPP 複合体が調製された。本研究で調製した MCP-CPP 複合体は,以前に報告したものよりカルシウムと CPP 含量がやや低かったが,CPP の調製のためのエタノールを必要としないことから,より低コストで調製できるものと思われた。
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© 2004 日本酪農科学会
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