ミルクサイエンス
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原報
モンゴル遊牧民がラクダ乳からつくる乳製品
石井 智美鮫島 邦彦
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2006 年 55 巻 2 号 p. 79-84

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抄録

 モンゴル遊牧民はヒツジ,ヤギ,ウシ,ウマ,ラクダの乳を様々に加工してきた。ゴビ地方のラクダはフタコブラクダで,搾乳の中心家畜であるが,飼育地域が限られ,モンゴル遊牧民のラクダ乳利用に関する報告はまだ少ない。筆者らは,モンゴル国のラクダ乳の成分,ラクダ乳からつくられたチーズ aaruul の一般成分分析,微量成分分析を行った。その結果,ラクダ乳はウシ乳より,脂肪含有量が高かった。ラクダ乳 aaruul は脱脂したモンゴルのウシ乳 aaruul に比べ,蛋白質,脂肪,カルシウム含有量が高かった。ラクダ乳 aaruul に健康に良いと生の野草を加えることも行われていた。そしてモンゴルのヒツジ,ウシ乳の加工で行われる脱脂がラクダ乳では行われていなかった。Aaruul の硬さを Tensile Tester で測定した結果,脱脂したウシ乳 aaruul より早い時間で崩れた。aaruul の硬さには乳脂肪含有量が関与しているのではないかと考えた。ラクダ乳酒中から乳酸菌は複数種の Lactobacillus 属と Lactococcus 属菌株,酵母は Kluveromyces marxianus var. lactis を分離した。

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© 2006 日本酪農科学会
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