ミルクサイエンス
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総説
乳タンパク質濃縮物(MPC)の機能性と水和性
池田 新矢
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2015 年 64 巻 2 号 p. 127-137

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抄録

 乳タンパク質濃縮物(MPC)は限外ろ過,透析ろ過等の膜分離プロセスとそれに続く噴霧乾燥を経て製造される乾燥乳タンパク質粉末である。その優れた栄養性と物理化学的機能性により,MPC はタンパク質の摂取量を高めることを目的とした栄養食品や飲料,あるいはチーズ,ヨーグルト,アイスクリーム等の乳製品等,様々な食品の原料として広く認識されるようになってきた。本総説では,MPC の機能性と水和性について,特にレンネットゲル化性,水中油滴型エマルションの安定化,保存時の水溶性の低下現象,および水溶性を向上するための手法に焦点を当てて解説する。また,脱脂粉乳(NFDM/SMP)やカゼイネート等,他の乳タンパク質原料と MPC の機能性の類似点および相違点を比較する。さらに,保存時の温度や湿度が水溶性の低下の度合いに与える影響およびその機構について論じる。

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© 2015 日本酪農科学会
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