2020 年 69 巻 2 号 p. 71-82
本論文ではプロバイオティック乳酸菌の現在と将来的展望についてまとめた。プロバイオティック乳酸菌のLactobacillus reuteriは工業的な応用価値が高いと思われるが,その特性は比較的知られていないため,本菌の生理的特性と炭水化物代謝を紹介する。炭水化物代謝においては,糖類は細胞膜に存在する種々のトランスポーターを介して細胞内に取り込まれ,ヘキソースやペントースはホスホケトラーゼ経路やペントースリン酸経路によって代謝される。L. reuteriのいくつかの菌株は菌体外多糖やオリゴ糖を生成することができる。その一つ,ロイテランは (α1→4) 結合と (α1→6) 結合で構成される多糖である。同時に,(β2→6) 結合と (β2→1) 結合からなるフルクトースポリマーを生成することもある。ロイテランおよびフルクトースポリマーは,グルカンスクラーゼもしくはフルクトスクラーゼによって,細胞外で合成される。現在,これらの多糖や酵素の工業的応用は限定的だが,今後,乳業業界をはじめとする多くの分野で利用が拡大していくと考えられる。