2013 年 31 巻 4 号 p. 240-247
高感度で病変検出能力の高いMRI造影画像とリアルタイムに断層像が得られる超音波画像とをフュージョン表示することにより,乳がんの高精度で信頼度の高い検査・治療が行えるようになると期待されている.しかしMRIによる乳房の撮像体位は腹臥位が一般的であり,超音波の撮像体位は背臥位が通例である.乳房は体位変化により大変形を生じるため,体位の異なる画像間のフュージョン表示は困難を伴う.そこで著者らは粒子法弾性解析を用いて腹臥位MRI画像より疑似背臥位MRI画像を作成し,背臥位超音波画像とフュージョン表示する技術の開発を目標に研究を行っている.本研究では腹臥位MRI画像をマニュアルで領域分割し,粒子間距離2mmで乳房組織に粒子を作成することにより乳房粒子モデルを作成した.乳房を均一な微小歪線形弾性体とし,2倍の重力をかけることにより,腹臥位から背臥位への撮像体位の変化で生じる乳房変形を粒子法を用いて解析した.算出した乳房変形の情報を用いて腹臥位画像をバックワードワーピングにより再構成し,体位による乳房変形を反映した疑似背臥位MRI画像を構成した.