Medical Imaging Technology
Online ISSN : 2185-3193
Print ISSN : 0288-450X
ISSN-L : 0288-450X
31 巻, 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
JAMIT 2013関連の査読付き論文<研究論文>
  • 藤居 昭吾, 山本 悦治
    2013 年 31 巻 4 号 p. 217-224
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/21
    ジャーナル フリー
    Bloch-Torreyの式に基づく拡散強調MRI(DWI)用画像シミュレータは,MRI診断に新たな見識を提供する.しかし,サイズの大きいモデルに対するDWIの計算には膨大な時間を要し,実用化は困難であった.われわれはDWI用高速画像シミュレータを開発したが,本論文ではそれを拡散テンソル画像(DTI)向けに拡張した.DTIの計算では,複数傾斜磁場で形成するMPGの印加が必要である.しかし,これまで開発した高速法では単一傾斜磁場によるMPGにしか対応できない.本論文ではこれを解決するため,MPGの方向と拡散計算のための空間的偏微分の方向とが常に一致するように,数値モデルを回転させた.これにより任意方向のMPGであっても単一傾斜磁場の場合と等価になるので,得られた画像を逆回転させれば所望のDWIが求められる.この操作を種々の方向のMPGに適用し,最後にDTIを求める.提案した方法をヒト脳サイズの二次元数値モデルに適用した結果,理論値と2%以内の誤差で一致することを確認した.
JAMIT 2013関連の査読付き論文<研究速報>
  • 伴 幸巧, 安倍 和弥, 堂之前 義文, 武尾 英哉, 高橋 嘉晴, 永井 優一
    2013 年 31 巻 4 号 p. 225-230
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/21
    ジャーナル フリー
    眼底画像を用いた診断は,糖尿病性網膜症などの眼疾患を早期に発見する手段として旧来から利用されている.しかし,所見の微妙な変化を客観的かつ正確に把握することや,患者の視力との対応関係を正確に捉えることは難しい.そこで本研究では,サブトラクション処理を用いて,眼底画像の経時的変化を表現した差分画像と,経時的な変化の程度を定量的に算出した経時変化度の両者を提示し,医師の診断をサポートする手法を開発した.特に眼底撮影の場合は,額と顎を固定するため,同一撮影装置であれば複数の撮影画像間での幾何学的変化はほぼ線形変化に限定される.よって,高精度な画像位置合わせが容易にできるため,位置ずれアーチファクトの少ない差分画像が実現できる.本処理は任意の2画像の差分画像と経時変化度を算出することが可能であるが,今回は初診時画像を基準として,1症例(12枚の時系列の画像群)に適用した.その結果,それぞれの差分画像には各病変が強調されて表現されていることを確認するとともに,経時変化度は各時点での患者の視力と高い相関をもつ(相関係数0.912)との結果を得た.今後,この結論を一般化するために,症例数を増やして本手法の有効性を検証する必要がある.
研究論文
  • 臼井 桂介, 国枝 悦夫, 尾川 浩一
    2013 年 31 巻 4 号 p. 231-239
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/21
    ジャーナル フリー
    直線加速器に搭載されたキロボルトcone beam computed tomography(CBCT)システムが線量計算に利用できれば,初期に計画された線量分布を参照しながら,治療日ごとの線量分布を確認できる.本論文ではマルチスライスCT画像と組み合わせたCBCT画像を用いた計算方法の有効性を評価した.提案手法によって計算された線量分布の精度を評価するため,ガンマ解析,distance-to-agreement解析とdose-volume-histogram解析を使用して,CBCT画像を用いた他の線量計算法と比較した.その結果,われわれの提案手法によって計算された線量分布は,他の方法を用いて計算した線量分布よりも初期の治療計画とよく一致した.加えて,われわれの方法は大変安定した手法であり,臨床的な条件の変化に対して影響を受けなかった.このことから提案手法が適応的放射線治療に対して有効であることを確認した.
  • 志野 亮作, 越塚 誠一, 伊藤 広貴, 地挽 隆夫, 劉 磊
    2013 年 31 巻 4 号 p. 240-247
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/21
    ジャーナル フリー
    高感度で病変検出能力の高いMRI造影画像とリアルタイムに断層像が得られる超音波画像とをフュージョン表示することにより,乳がんの高精度で信頼度の高い検査・治療が行えるようになると期待されている.しかしMRIによる乳房の撮像体位は腹臥位が一般的であり,超音波の撮像体位は背臥位が通例である.乳房は体位変化により大変形を生じるため,体位の異なる画像間のフュージョン表示は困難を伴う.そこで著者らは粒子法弾性解析を用いて腹臥位MRI画像より疑似背臥位MRI画像を作成し,背臥位超音波画像とフュージョン表示する技術の開発を目標に研究を行っている.本研究では腹臥位MRI画像をマニュアルで領域分割し,粒子間距離2mmで乳房組織に粒子を作成することにより乳房粒子モデルを作成した.乳房を均一な微小歪線形弾性体とし,2倍の重力をかけることにより,腹臥位から背臥位への撮像体位の変化で生じる乳房変形を粒子法を用いて解析した.算出した乳房変形の情報を用いて腹臥位画像をバックワードワーピングにより再構成し,体位による乳房変形を反映した疑似背臥位MRI画像を構成した.
講座
  • 重田 高志
    2013 年 31 巻 4 号 p. 248-251
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/21
    ジャーナル フリー
    MRIにおける大きな課題のひとつは撮像時間の短縮であり,MRI再構成においては,限られた収集データからいかに高い解像度をもつ画像を作成するかが問題となる.本稿では,MRI再構成による高速撮像技術として,パラレルイメージングと圧縮センシングの2つの技術について解説する.これらはいずれも,ハードウェアの性能を変えることなく,撮像時間を減らしながら画質を維持して再構成を行う手法である.パラレルイメージングはすでに臨床のあらゆる分野で多用されており,圧縮センシングも,撮像時間の短縮化および画像の高分解能化への貢献が期待される.
研究室訪問
日本医用画像工学会
編集後記
feedback
Top