2019 年 37 巻 3 号 p. 155-163
子宮頸がん検診には細胞診が用いられるが,多数の正常細胞から有所見細胞を探すため,煩雑で時間を要する.そのため,われわれの研究の目的は,検査士の負担軽減と検査時間短縮のために,深層学習による有所見細胞の自動検出と判別が可能かどうかを検討することである.われわれは物体検出に使われるFaster R-CNNを用いて,有所見細胞の検出,および悪性度の分類を行う手法を提案した.有所見細胞の分類は子宮頸部細胞診で良悪性を分類するためのベセスダ分類に基づき,臨床的観点から「正常群」,「内科的経過観察群」,「要外科的処置群」の3群に分類した.われわれは5分割交差検証を行うために,病理データをトレーニングとテストに分けた.Faster R-CNNの結果と検査士による診断結果をF値により比較すると,「正常群」は47.9±9.0%であったが,「内科的経過観察群」,「要外科的処置群」はそれぞれ75.0±8.6%,82.3±2.9%であった.内科的経過観察群や要外科的処置群からは提案手法の有効性が示されたが,「正常群」の性能が低いことから,すべての子宮頸部細胞にアノテーションを付けることが困難であると示唆された.