抄録
本研究では,コストを売上高の関数と捉える回帰モデルの推定を通じて,中期経営計画で3年から5年先に達成すべき目標として設定される利益目標の基礎にあるコスト目標と売上高目標との関係を分析し,中期経営計画の特徴を探索する。これを目的として,2019年の日経500種平均株価算出企業を対象に,過去20年間に開示された中期経営計画を収集し分析を行った。分析対象となった中期経営計画では売上高の増加計画が96.3%を占めており,売上高の増加計画に伴う計画上のコスト増加率は現実に観察されるコスト増加率よりも大きく計画されていた。この傾向は,サンプル期間後半でより顕著に観察された。このような発見は,近年の中期経営計画の大半にスラックが盛り込まれていることを示唆する。