加硫ゴムの光分解について検討を行った.細断した加硫ゴムは,溶媒中に浸漬させ増感剤を添加し紫外線照射を行うことで分解し,低分子量化することが明らかとなった.cis-1,4-ポリイソプレンおよび天然ゴムの加硫物は紫外線照射後,分子量1,000~3,000程度の劣化生成物となった.多芳香環であるアントラキノンを添加したときの効果が特に高かった.経時変化の観察から紫外線照射時間は72時間程度で十分であることがわかった.スチレン-ブタジエン共重合体の加硫ゴムは低分子量化するものの,cis-1,4-ポリイソプレン,天然ゴムと比較して顕著な光分解を示さなかった.劣化生成物は溶解性が著しく向上し,種々の有機溶媒に可溶となった.FT-IRおよび1H-NMRによる劣化生成物の構造解析を行った結果,新たにヒドロキシル基やカルボニル基の生成を確認した.機器分析の結果から,加硫ゴムの分解の反応機構は自動酸化反応によるものと推察した.