マテリアルライフ学会誌
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ケトン類を用いたジエン系ポリマーの光酸化分解
亀田 純一香西 博明
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2009 年 21 巻 2 号 p. 79-84

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抄録

ケトン類を用いたジエン系ポリマーの光分解について検討した.細断したジエン系ポリマーを,種々のケトン中に浸漬させ増感剤を添加し紫外線照射を行うことで著しい分子量低下を引き起こすことが明らかとなった.cis-1,4-ポリイソプレンは6時間紫外線照射することで,分子量3,500程度の劣化生成物となった.特に多芳香環であるアントラキノンを添加したときの効果が特に高かった.得られたcis-1,4-ポリイソプレンの劣化生成物は溶解性が著しく向上し,種々の有機溶媒に可溶となった.最適条件下で天然ゴム,cis-1,4-ポリブタジエン,1,2-ポリブタジエン,スチレン-ブタジエン共重合体の光分解を行った結果,同様に低分子量化し,分子量5,000~8,000程度の劣化生成物となった.FT-IRおよび1H-NMRによる劣化生成物の構造解析を行った結果,新たにヒドロキシル基やカルボニル基の生成を確認した.機器分析の結果から,光分解の反応機構は自動酸化反応によるものと推察した.

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© 2009 マテリアルライフ学会
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