2021 年 32 巻 1 号 p. 10-16
腰痛は,本邦の国民生活基礎調査でも常に上位に名を連ねるごくありふれた症状である。職場での腰痛発生の要因には,動作要因や環境要因,個人的要因がある。近年では,仕事上のストレスや過重労働,恐怖回避思考などの心理社会的要因も腰痛の慢性化や再発に関与すると考えられている。産業保健における腰痛予防介入の主軸は,人間工学に基づいた動作分析による安全な作業方法の提案や機器導入などの作業環境改善の提示,腰痛予防のための運動・身体活動の指導であり,理学療法士の知識や技術が活用できる。また,腰痛の原因には肥満や喫煙,ストレスなどの健康問題も関連することから,産業保健スタッフとの連携を密にした集学的アプローチの実践が望ましい。