日本きのこ学会誌
Online ISSN : 2432-7069
Print ISSN : 1348-7388
奈良県平群町常念寺のきのこを描いた鬼瓦
種坂 英次
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 13 巻 2 号 p. 109-111

詳細
抄録

奈良県北西部に位置する平群町椿井の常念寺地蔵堂隅棟には,きのこが浮彫りされたユニークな鬼瓦がある.鬼瓦には成熟過程の異なる3本のきのこが描かれている.成熟子実体および若い子実体の傘は開いているが,傘中央はまんじゅう形にふくらみ,縁部はやや内方に巻いている.柄は上下ほぼ同径で,下方に向かって細まることはない.傘と柄の表面には,繊維状鱗片を思わせる細かい線刻が密に施されている.以上の形態的特徴から,この鬼瓦は矢田丘陵西麓に点在する集落において古くから貴重な現金収入となっていたマツタケを描いたものと考えられる.

著者関連情報
2005 日本きのこ学会
前の記事
feedback
Top