2009 年 17 巻 4 号 p. 161-165
マンネンタケ菌株と培地基材が子実体形成とアンギオテンシン変換酵素阻害活性に与える影響について検討をおこなった.4種の菌株について栽培をおこなったところ,SMY寒天培地での菌糸成長速度と木粉-フスマ培地での子実体形成時期に相関がみられた.また,同一菌株においては,菌糸成長速度と子実体形成時期についてウメ木粉とコナラ木粉の間での培地基材による差異は少ないことが示された.一方,子実体抽出物のACE阻害活性能は,本実験条件内では菌株依存性が高いことが示唆された.薬理作用を目的とする菌株選抜においては,子実体収量や栽培速度のみを重視することなく,期待される薬理作用の機能性試験を合わせて実施し,総合的評価により判断をおこなうことが重要であると考える.また,剪定枝から得られるウメ木粉がマンネンタケ培地基材として利用可能なことも本研究の結果から明らかとなった.