抄録
エリンギ(Pleurotus eryngii)において品種識別に有用なSSRマーカーを開発した.本研究で作製したDNAライブラリーから(CT)_8をプローブとして38個,(GTG)_8をプローブとして50個のポジティブクローンを単離した.全ての断片の塩基配列を決定し,(CT)nライブラリーから14個,(GTG)nライブラリーから20個の計34個のマイクロサテライト領域を獲得した.この領域を含んで増幅するようにプライマーを設計し,増幅産物の確認を行った結果,20種類のSSRマーカーが選抜された.選抜した20個のSSRマーカーを利用して既存品種5株,野生品種25株の計30株の品種識別を試みた.30品種を識別するマーカー数が最少となるように組み合わせを検討した結果,6種類のマーカーにより相互に識別可能であった.これらのSSRマーカーは品種識別に有効であり,短期間で育成者権侵害嫌疑貨物を疎明することが期待される.
