日本きのこ学会誌
Online ISSN : 2432-7069
Print ISSN : 1348-7388
きのこのセミダイレクトPCR法の開発
日高 史典李 燕霜村 典宏前田 和彦永瀬 光俊会見 忠則
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2010 年 18 巻 1 号 p. 13-16

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抄録
7種のきのこ(シイタケ,ツクリタケ,マイタケ,エリンギ,ブナシメジ,エノキタケ,ナメコ)の子実体組織および菌糸体,3種のきのこ(マツタケ,ホンシメジ,ショウロ)の菌糸体を使って,DNA精製を伴わないダイレクトPCR(直接PCR)法によるDNA断片の増幅を試みた.その結果,ブナシメジ,ナメコ,エノキタケ,ツクリタケの菌糸体からのみ,PCRによるDNA断片の増幅が可能であった.この簡易的な方法を全てのきのこ種で可能にするために,子実体組織および菌糸体を2% Triton X-100を含むTEバッファー中でホモジナイズした粗DNA抽出液を調製し,それを鋳型としてPCRを行った(セミダイレクトPCR法).その結果,実験に供試した全ての子実体組織および菌糸体から目的とするサイズのDNAの増幅が確認できた.以上の結果から,PCR法に用いる鋳型DNA溶液は,高度に精製したものである必要はなく,粗DNA抽出液で十分であることがわかった.
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2010 日本きのこ学会
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