2015 年 23 巻 2 号 p. 65-74
きのこ類を用いて味醂を製造するため,食用・薬用きのこ類91株を対象としてアミラーゼ生産性の高い13株を選抜し,アミラーゼのアルコール耐性を調べた.その結果,エタノール20%存在下でのマンネンタケNBRC31863株の相対活性は89.5%で市販米麹の72.3%よりも高い値であった.そこで4株のきのこ類を用いて味醂の試醸を行ったところ,全糖量は高い値を示したヌメリツバタケSKB021麹味醂,マンネンタケNBRC31863麹味醂でそれぞれ180g/L,177g/Lと,市販本味醂(426g/L)よりも低かったが,有機酸・アミノ酸含有量は市販本味醂よりも高かった.またきのこ味醂は高い抗酸化活性を有しており,このことはきのこ類を用いる利点になると思われた.呈味性についても良好であり,官能検査においてマンネンタケNBRC31863麹味醂は味,香りについて市販本みりんとの間に有意な違いは示されなかった.