日本きのこ学会誌
Online ISSN : 2432-7069
Print ISSN : 1348-7388
完熟菌床を用いたA0層からシイタケ菌床へのセシウム137移行経路の推定
成松 眞樹
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2017 年 25 巻 2 号 p. 59-65

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抄録
土壌など栽培環境からホダ木へのCs-137の移行経路を把握するため,シイタケ完熟菌床をモデルとして,栽培袋の下面を開放し,スギ林のA0層上に設置した.設置期間は2015年5月から11月で,6月から11月の各月に菌床を回収して,上下に分けてCs-137濃度と含水率を測定した.また,対照群として滅菌した完熟菌床を同様に設置した.設置1か月後には,菌床の下面から伸びたシイタケの菌糸がスギの落葉に強固に付着し,落葉の一部は褪色した.Cs-137濃度の上昇は菌床の下部で顕著であり,設置から3か月間は増加,その後は同程度で推移した.また,下部のCs-137濃度は期間を通じて上部より高かった.さらに,設置翌月と2か月後の下部のCs-137濃度は,対照群下部の2倍以上の値を示した.一方,菌床の含水率は,部位や処理の間で顕著な差異を示さなかった.これらのことから,菌床下部におけるCs-137濃度の増加には,シイタケの菌糸によるA0層からの移行が関与していることが示唆される.
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2017 日本きのこ学会
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