日本きのこ学会誌
Online ISSN : 2432-7069
Print ISSN : 1348-7388
25 巻, 2 号
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  • 成松 眞樹
    2017 年 25 巻 2 号 p. 59-65
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/09/04
    ジャーナル オープンアクセス
    土壌など栽培環境からホダ木へのCs-137の移行経路を把握するため,シイタケ完熟菌床をモデルとして,栽培袋の下面を開放し,スギ林のA0層上に設置した.設置期間は2015年5月から11月で,6月から11月の各月に菌床を回収して,上下に分けてCs-137濃度と含水率を測定した.また,対照群として滅菌した完熟菌床を同様に設置した.設置1か月後には,菌床の下面から伸びたシイタケの菌糸がスギの落葉に強固に付着し,落葉の一部は褪色した.Cs-137濃度の上昇は菌床の下部で顕著であり,設置から3か月間は増加,その後は同程度で推移した.また,下部のCs-137濃度は期間を通じて上部より高かった.さらに,設置翌月と2か月後の下部のCs-137濃度は,対照群下部の2倍以上の値を示した.一方,菌床の含水率は,部位や処理の間で顕著な差異を示さなかった.これらのことから,菌床下部におけるCs-137濃度の増加には,シイタケの菌糸によるA0層からの移行が関与していることが示唆される.
  • 鮫島 由香, 鈴木 扶沙子, 田畑 麻里子, 松井 徳光
    2017 年 25 巻 2 号 p. 66-69
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/09/04
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,嗜好性に優れ新たな生理活性を付加させた機能性後発酵茶の開発を目的として,スエヒロタケの発酵能による後発酵茶の調製を試みた.市販の番茶をスエヒロタケによって発酵させたところ,スエヒロタケ後発酵茶の抗酸化活性,総ポリフェノール量,カテキン量の値がいずれもコントロールに対して高値を示した.カテキン類の中でも-EGCのみ大幅な増加がみられたことから,担子菌の発酵能によって-ECgと-EGCgが加水分解され没食子酸が遊離し-EGCが生成し,総ポリフェノール量や抗酸化活性の増加に関与していた可能性が示唆された.
  • 菅野 友美, 山本 久美子, 長田 亜梨沙, 原田 栄津子, 亀谷 宏美, 鵜飼 光子, 大澤 俊彦
    2017 年 25 巻 2 号 p. 70-74
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/09/04
    ジャーナル オープンアクセス
    電子スピン共鳴分光法により様々なpH および加熱条件下における4 種類のきのこヒドロキシルとスーパーオキシドラジカル捕捉活性を調べた.きのこのラジカル捕捉活性はpH 条件により変化した.G. gargal が最も高いヒドロキシルラジカル捕捉活性を示した.またヒロドキシルラジカル捕捉活性は加熱により増加した.一方,スーパーオキシドラジカル捕捉活性は0.1 M 酢酸緩衝液(pH 6.0)または蒸留水で抽出した抽出液が高い傾向を示した.そのラジカル捕捉活性は加熱により減少した.ヒドロキシルラジカル捕捉活性とスーパーオキシドラジカル捕捉活性の間に相関は見られなかった.これらの結果から,きのこには様々なラジカル捕捉物質を含有することが示唆された.
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