日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第53回大会
セッションID: B21
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北海道利尻島で分離されたPythium属菌の2新種について
*本橋 慶一Mohamed Awad Abdelzaher Hani千田 昌子須賀 晴久景山 幸二
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抄録
Pythium属菌は植物に茎腐や根腐病または苗立枯病などを引き起こす重要な土壌菌類である. 本属菌は植物病原菌以外にも動物病原菌, 菌寄生菌や腐生菌としても知られ, 海水や河川・湖沼, 農耕地や非農耕地土壌中に広く分布している. しかし, その多くの研究は農耕地中の植物病原菌を対象としており, 非農耕地や河川・湖沼に生息するPythium属菌を対象にした研究報告はまだ少ない. 従って, Pythium属菌の生態を明らかにするためには自然環境中での菌類相を調査する必要がある. 本研究では, 2007年7月, 北海道利尻島の河川・湖沼および森林土壌のPythium属菌の菌類相を明らかにすることを目的として調査を行った. 7ヶ所から採取された水サンプルからP. catenulatum, P. undulatum, P. pyrilobum, Pythium Group FおよびP. myriotylumの形態的特徴に似るが, 造精器柄が造卵器の周囲に密着し, 造精器は主に頂生であるが間生も観察される点で既知種とは異なる形態的特徴を持つ一種(NS1)が分離された. 一方, 10ヶ所から採取された土壌サンプルからP. intermedium, P. macrosporum, P. pyrilobum, P. sylvaticumおよびP. ultimumに形態的特徴に似るが, 造精器は主に直下性で, 時々1つの造卵器内に2つの卵胞子が形成される点で既知種とは異なる形態的特徴を持つ一種(NS2)が分離された. これら2種のrDNAを用いた系統解析の結果から, NS1およびNS2は単系統となることが明らかとなった. 以上, 形態的特徴およびrDNAの系統関係からNS1およびNS2を新種として提案する.
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© 2009 日本菌学会
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