2017 年 19 巻 2 号 p. 81-87
毎年, 計算機の演算能力の世界記録が塗り替えられている. こうした計算機の進化に後押しされて, 様々な分野でスーパーコンピュータの活用が進んできた. 創薬分野においても, 敬遠されてきた分子シミュレーションの活用が「京」の登場で現実的になってきている. 本稿では, なぜ創薬の現場で分子シミュレーションの活用が期待されているのか, その背景と学術的意味について丁寧に考察していく. また, 「京」を使った研究の経験を振り返り, ポスト「京」時代に何が新たな挑戦として期待されるのかを考える.