2020 年 22 巻 2 号 p. 134-141
メソスケールにおける拡散や緩和のような動的挙動を記述するためにランダムノイズを含んだLangevin 方程式が広く用いられている.しかしながら,着目する粒子が過冷却液体のような動的に不均一な環境に置かれていたり,からみあった高分子のように運動に影響する形態自由度を持つ場合には,単純なLangevin 方程式では運動を記述しきれない.最近,そのような系を表現するために,拡散係数を時間とともにゆらぐ物理量とみなすモデルが提案されている.本稿ではゆらぐ拡散係数の概念やゆらぐ拡散係数を持つ系の拡散や緩和挙動の解析結果,ゆらぐ拡散係数に関連するモデル等について解説する.