2020 年 22 巻 4 号 p. 314-319
接着の強さはファンデルワールス力やクーロン力といった分子間相互作用といった熱力学的な性質だけでな く,接着剤自身の粘弾性が影響することが知られている.同時に高分子は界面とバルクでダイナミクスが異 なることが知られているが,接着のように埋もれた界面に対して粘弾性のような力学的性質を解析する方法 は非常に少ない.本研究では,粘弾性の 1 つである緩和弾性率を空間座標に対して分解する手法を開発,粗 視化した樹脂-金属界面に適用し,局所的な粘弾性と接着の関係を解析した.接着力が高い場合には界面近 傍に層状の構が形成され,その層はバルクよりも粘度が高いことを示した.