2022 年 24 巻 1 号 p. 32-38
QM/MM 法は,凝縮系の化学反応に有効な手法である.しかし,QM/MM 法を長時間の分子動力学シミュレーションと組み合わせることは,現在の計算機環境でも難しい.特に,電子励起状態が関わる化学反応は,QM 領域の量子化学計算の計算コストが跳ね上がるため,非常に困難である.このような状況を解決するために,筆者らは凝縮系の化学反応のポテンシャル関数を高精度かつ高効率に生成する手法の開発を行ってきた.本稿では,筆者らが開発してきた手法の概要とその応用例を紹介する.