抄録
インドネシアの醤油ケチャップおよび発酵大豆タウチョの大豆麹を採取した.収集試料6点のうち,5点からは Aspergillus が主要菌として分離された.収集試料からは,アフラトキシンは検出されなかったが,2株のアフラトキシン生産菌が分離された.アフラトキシン汚染防止の観点から種菌の開発を行うため,Aspergillus 属の優良菌株2株を選択し,さらに,紫外線照射により,それらの白色変異株を造成・取得した.白色変異株は,アフラトキシン生産菌とは,外観から容易に識別された.これらの変異株には,アフラトキシン生産性は認められず,また,これらを用いて調製した諸味のフォルモール窒素の値は,親株を用いた場合とほとんど変わらなかった.アフラトキシン生産菌の常在地では,麹菌白色変異株の種菌としての利用は有用である.