マイコトキシン
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原著
エモジン,中国の薬草やAspergillus 属および Penicillium 属のカビに由来するアントラキノンの抗動脈硬化的効果の検討
長嶋  等中村 久美子後藤 哲久
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2002 年 52 巻 1 号 p. 23-27

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抄録
エモジンの抗動脈硬化活性を検討した.本研究では,単球走化性タンパク質(MCP)-1とメタロプロテイナーゼ組織阻害因子(TIMP)-2の分泌に対するエモジンの影響を,血管の平滑筋細胞であるA-10細胞を用いて調べた.両因子とも,動脈硬化の発症に重要な役割を果たしていると考えられている.エモジンは,腫瘍壊死因子-αで誘導されたMCP-1分泌に対し,用量依存的な阻害を示した.50および100μMエモジンに対する暴露は,TIMP-2分泌の顕著な阻害を起こした.これらの結果は,エモジンが動脈硬化を抑制する可能性を示している.さらに,エモジンのエストロゲン様活性を調べた.エモジンは,エストロゲン受容体に対するエストロゲンの結合を阻害した.このことは,エモジンがエストロゲン様活性を持つマイコトキシンであることを示している.エストロゲンもMCP-1の分泌を阻害することから考えると,エストロゲン受容体 がエモジンのシグナル伝達の仲介をしているのかも知れない.
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© 2002 日本マイコトキシン学会
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