抄録
小麦とそれを製粉した小麦粉を一対として, 製粉工場から集めた小麦玄麦80試料および小麦粉80試料, 計160試料について, それらに含まれるデオキシニバレノール (DON) とニバレノール (NIV) を測定し, 製粉工程における毒素減衰について検討した. 試料をアセトニトリル : 水の混液で抽出後, マルチファンクションカラムでクリーンアップ, トリメチルシリル化後, ガスクロマトグラフ質量分析計 (GC-MS, SIMモード) で検出, 定量を行った. その結果, 定量下限値10 ng/g (10 ppb) で全小麦玄麦試料のDONとNIVの各濃度はそれぞれND-2,450 ng/gとND-174 ng/gの範囲であった. 全小麦粉試料のDONとNIVの各濃度はそれぞれND-1,620 ng/gとND-20 ng/gであった. この結果から算出した製粉工程での平均毒素減衰率と範囲はDONで74% (0-97%), NIVで63% (22-91%) であった.