マイコトキシン
Online ISSN : 1881-0128
Print ISSN : 0285-1466
ISSN-L : 0285-1466
テクニカルノート
Fusarium graminearumにおける遺伝子機能解析に有用な異種糸状菌由来プロモーターの機能評価
中嶋 佑一東海 武史前田 一行田中 彰安藤 直子金丸 京子小林 哲夫木村 真
著者情報
ジャーナル フリー
電子付録

2014 年 64 巻 2 号 p. 147-152

詳細
抄録
  Fusarium graminearum細胞内でGUS遺伝子をレポーターとしAspergillus nidulans由来の保存遺伝子4種のプロモーター活性を評価した.Tri5クラスターの末端付近に位置するTri14ローカスに,それぞれのプロモーターをGUSと連結したコンストラクトを導入し,細胞粗抽出物をレポーターアッセイに供した.その結果,TEF-1α( translation elongation factor 1-alpha )プロモーター制御下でのGUS活性が突出して強く,続いてGPD( glyceraldehyde 3-phosphate dehydrogenase ),UBI( polyubiqutin ),TUBβ-tublin )プロモーターの順に高いGUS活性を示した.さらに,トリコテセン制御因子( Tri6 )と強化緑色蛍光遺伝子( EGFP )との融合型遺伝子( Tri6::EGFP ),ならびにTri6のopalストップコドンを残した融合コンストラクト( Tri6stopGFP )を作製し,TUBおよびTEF-1αプロモーターに連結し,トリコテセン3-O-アセチルトランスフェラーゼ( Tri101 )下流ローカスに導入した.ノーザン解析によりこれらの融合コンストラクトの転写量を確認したところ,先のGUSアッセイによるプロモーター活性と比例した転写活性を示した.また,これらの株のトリコテセン生産を調べたところ,Tri6::EGFP遺伝子産物のトリコテセン生産誘導能はTRI6と比べ大きく減少していた.本研究で報告したプロモーターは,F. graminearumにおいて目的遺伝子の発現量変化による機能解析に有用となるだろう.
著者関連情報
© 2014 日本マイコトキシン学会
前の記事 次の記事
feedback
Top