TAM誘導アポトーシスで生じる17-kDaのヒストンH1
0N末端領域(17-kDa H1
0NTR; Thr2 – Phe107)はDNase活性を有しており,その活性には25と57番目のヒスチジン残基が必須であった.TAMにより,Ca
2+の細胞内流入が惹起され,この下流でCa
2+依存性のプロテアーゼであるカルパイン-2が活性化される.さらに活性化されたカルパイン-2によってヒストンH1
0が限定的な切断を受け,DNase活性を有する17-kDa H1
0 NTRが産生され,クロモソームDNA断片化を介してアポトーシスを誘導した.さらに,17-kDa H1
0NTRの強制発現はTAM誘導アポトーシスを増強する,一方RNA干渉によるH1
0の発現抑制はアポトーシスを抑制した.これらの結果は,17-kDa H1
0NTR DNaseがTAMの細胞死シグナル伝達経路の下流で重要な機能を果たしていることを示すものであり,ヒストンH1
0の生物学的な役割の新たな一面を明らかにすると共に,TAMはアフラトキシンB
1によって引き起こされる肝発癌の予防薬や肝癌の治療薬として有用であることを示している.
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