抄録
Hermansky-Pudlak症候群(HPS)の一剖検例を経験した.症例は46歳,女性.労作時の呼吸困難を主訴に当院紹介受診.胸部CTにて気腫性変化と両側下葉優位の蜂巣状変化,呼吸機能検査で著明な拘束性障害を認めた.外見は色白で年齢不相応の老人様顔貌であり,家族歴よりHPSを疑った.その後,発熱と呼吸困難増悪にて入院するも肺胞出血による呼吸不全にて死亡した.病理解剖では,両肺の嚢胞性間質性変化と,肺アスペルギルス症,肺胞出血を認めた.家族の同意のもと行われた遺伝子検査ではHPS遺伝子の変異が確認され,HPSと診断された.