2008 年 97 巻 12 号 p. 2983-2990
内分泌・代謝疾患の診断・治療では,イムノアッセイによるホルモンの検査値が大きな意味を持つ.検査の正確性の担保および互換性の確保をめざして世界的に医療界の枠を超えた計測標準の視点で標準化が進められている.本稿では,イムノアッセイ全国コントロールサーベイの結果を示しながら標準化の必要性は認められてきているが,その達成にはなお大きなハードルがある現状を解説した.糖尿病の診断・治療で重要なHbA1c測定の標準化が進み,2010年からこれまでのJDS(%)は併記するが,IFCC値(mmol/mol)で表記するようになる.基準値,管理目標値などは今後関連諸団体と協議されることになる.内分泌・代謝疾患の分野での遺伝子診断の進歩は目覚しいものがあり,サイログロブリン遺伝子異常(甲状腺)と褐色細胞腫瘍の遺伝子解析の最近の進歩を解説した.