2009 年 98 巻 11 号 p. 2888-2893
重症心不全の予後は,内科的薬物療法,外科手術,CRTDや補助循環装置などの進歩にもかかわらず不良である.心筋再生医療は新しい治療として注目され,細胞移植治療やサイトカイン治療が臨床応用され,主として心筋細胞保護や血管新生作用による心機能改善効果が認められている.しかし,重症心不全を治癒させるためには,心筋組織自体を新生または補充する必要があり,胚性幹細胞や誘導型多能性幹細胞由来の心筋細胞の移植細胞としての実用化,心筋分化誘導因子の作用ネットワークの解明,有効な細胞移植床の開発など多くの課題が残されている.