近年の日本のカンキツ産業では,収益性向上のための高品質果実生産,およびSociety 5.0 に向けてのICT 活用の機運が高まっている.高品質果実生産に有効な技術として,マルドリ方式が開発され普及が進んでいる.マルドリ方式は,有効な利用のためには緻密な栽培管理技術が必要であるとともに,必要エネルギーの小さい点滴かんがいを利用することから,ICT に馴染みやすい技術である.これまで農研機構およびその他の研究機関において,マルドリ方式をより高度に利用するための様々なICT 利用技術の開発が進められてきた.本報では,それらの技術を中心に,高品質カンキツ生産のためのICT 利用技術を紹介し,今後の展望を述べる.