農研機構研究報告
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原著論文
稼働費用の比較から見たてん菜新技術の導入に必要な作業面積
─ロボット6 畦狭畦用短紙筒移植機および高効率大型6 畦狭畦収穫機を対象に─
藤田 直聡 辻 博之有岡 敏也
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2020 年 2020 巻 3 号 p. 9-17

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抄録

現在,北海道の畑作では,規模拡大が進む一方で,てん菜の作付面積が減少し,小麦の過作等,輪作の崩れによる経営の悪化が懸念されている.その大きな要因の一つとして,高齢化等を含む労働力不足が挙げられる.農研機構は,こうした傾向に歯止めをかけ,輪作の維持を図るために,高効率大型6 畦狭畦収穫機,ロボット6 畦狭畦用短紙筒移植機を開発している. これらの開発中の作業機について,導入に必要とする作業面積を,従来の作業体系における稼働費用との比較より検討 した.その結果,高効率大型6 畦狭畦収穫機の稼働費用は,従来の1 畦収穫機のものを下回る作業面積は120 ha,ロボット6 畦狭畦用短紙筒移植機の稼働費用が,従来の全自動4 畦移植機のものを下回る作業面積は,1 ha 当たり2.0 時間の場合は,3.5 ~60 ha,70 ~120 ha,140 ha 以上であることが明らかになった.すなわち,新技術の導入が可能となる作業面積について,移植機の作業効率が1 ha 当たり2.0 時間まで上昇すれば,作業者の調達の可否次第で,様々な移植,直播の組み合わせが可能となることが理解できる.

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