農研機構研究報告
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原著論文
良日持ち性ダリア品種‘エターニティトーチ’,‘エターニティロマンス’ および‘エターニティルージュ’の育成とその特性
小野崎 隆 東 未来
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2022 年 2022 巻 10 号 p. 1-19

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抄録

日持ち性は花きの重要形質であり,2014 年から日持ち性の向上を目標としたダリア育種を開始した.22 品種を育種材料として品種間交雑を行い,切り花の日持ち日数を指標とした選抜とその選抜系統間での交雑を2 世代繰り返した. 2017 ~2019 年に系統適応性検定試験を実施した結果,系統505-13,629-18 および606-46 の3 系統が新品種候補として 有望と判定され,2020 年4 月に,それぞれ‘エターニティトーチ’,‘エターニティロマンス’および‘エターニティルージュ’として品種登録出願した.3 品種の最大の特徴は,優れた日持ち性である.2018 年および2019 年の調査で,切り花用主要品種‘かまくら’の日持ち日数は,蒸留水で3.9 ~6.2 日,日持ち延長効果のあるGLA(1% グルコース,0.5 mL・L-1 kathon CG および50 mg・L-1 硫酸アルミニウムから構成される品質保持剤)で6.0 ~8.0 日であったが,3 品種の 日持ち日数は,蒸留水で6.3 ~12.0 日(‘かまくら’の1.4 ~2.2 倍),GLA で9.0 ~13.4 日(‘かまくら’の1.1 ~2.0 倍)であった.2019 年に全国5 カ所で栽培時期の異なる作型で栽培した切り花も同様の良日持ち性を示したことから,3 品種の優れた日持ち性は環境によるものではなく,品種特性であることが明確に示された.

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