農業分野において脱炭素化に貢献する技術開発を進めるにあたっては,まず慣行農業の温室効果ガス排出量などを定量的に把握し,今後目指すべき農業との比較のためのベンチマークとすることが求められる.そこで,本研究では,都道府県内産業連関モデルに基づくライフサイクルアセスメントにより,慣行農業を主な対象として,温室効果ガス排出量,エネルギー消費量および経済波及効果を,地域経済の構造を反映したかたちで,一括してWEB 上で評価できるツールを開発した.事例分析により,本ツールは,系統電力や化石燃料をはじめとする,市場取引される投入財の量を増減させた場合の環境影響や経済波及効果を比較できることを示した.