農研機構研究報告
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総説
リモートNMR 分光分析供用システムの開発と農研機構統合データベース 及びAI 研究用スーパーコンピュータ「紫峰」との連携
伊藤 研悟 伊達 康博川村 隆浩大城 正孝江口 尚小野 裕嗣
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2023 年 2023 巻 13 号 p. 3-22

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抄録

昨今のSociety 5.0 及びポストコロナ時代において,研究現場ではリモート環境からデータ駆動型研究を加速させる高度な機器分析と情報連携基盤の開発が求められている.そこで農研機構では,リモート核磁気共鳴分光分析,データ駆動型解析及び機器分析データの一元管理をワンストップで提供する解析パイプラインを開発した.本パイプラインに合わせて長時間連続稼働が可能な自動前処理装置を利用することで,均質かつ均一な機器分析用試料の調製を可能にし,省人化・省力化を実現した.また,試料を約500 点セットが可能なオートサンプルチェンジャーを装着した溶液核磁気共鳴分光分析装置とリモート分析制御装置も導入し,簡便かつ安定なリモート分析の自動実行を可能にした.さらに,人工知能研究用スーパーコンピュータ「紫峰」と農畜産物のゲノムや成分などが格納された大容量の農研機構統合データベースを連携させることで,機器分析データの迅速なデータ駆動型解析とメタデータを含む機器分析データの一元管理を可能にした.この新たな基盤システムを利用することで,リモート環境にいる異分野の研究者同士がデータを介して繋がり,データ駆動型農業研究の促進や発展が期待される.

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