農研機構研究報告
Online ISSN : 2434-9909
Print ISSN : 2434-9895
ISSN-L : 2434-9895
原著論文
フェストロリウム新品種「ノースフェスト」の育成とその特性
田村 健一 田瀬 和浩眞田 康治小松 敏憲秋山 征夫谷津 英樹横山 寛高山 光男林 拓牧野 司出口 健三郎佐藤 尚親
著者情報
研究報告書・技術報告書 フリー HTML

2024 年 2024 巻 17 号 p. 1-22

詳細
抄録

フェストロリウム「ノースフェスト」は越冬性や放牧適性等を育種目標として四倍体のメドウフェスクとペレニアルライグラスの交雑後代を母材に育成された複二倍体品種であり,4 母系 19 栄養系で構成される.北海道内 7 か所での地域適応性検定試験の結果,「ノースフェスト」の越冬性はいずれの地域でもペレニアルライグラス「ポコロ」や既存のフェストロリウム品種より優れた.メドウフェスク「ハルサカエ」との比較においても,越冬条件が厳しい根釧地域で劣ったことを除けば十勝地域を含めたそれ以外の地域では同程度からやや優れた越冬性を示したことから,道北・道央・道南に加え,道東の比較的越冬条件の穏やかな地域に至るまで安定栽培が可能であると判断された. 「ノースフェスト」は放牧利用を想定した多回刈条件において全道平均での収量が「ハルサカエ」および「ポコロ」より多収であり,かつ季節生産性が平準化していたことなどから,放牧利用に適すると考えられる.また総繊維に占める高消化性繊維の割合が高いなどペレニアルライグラスと同等の優れた飼料品質を示すとともに,両草種より初期生育性が優れていることから,経年草地への追播での活用も期待される.

著者関連情報
著者は自身の論文の著作権を保持し、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構に対し農研機構研究報告からの論文の出版を許諾する。
前の記事 次の記事
feedback
Top