2024 年 2024 巻 17 号 p. 53-69
日持ち性は花きの重要形質であり,2014 年から日持ち性の向上を目標としたダリア育種を開始した.22 品種を育種材料として品種間交雑を行い,切り花の日持ち日数を指標とした選抜とその選抜系統間での交雑を 3 世代繰り返した.2020~2021 年に系統適応性検定試験を実施した結果,桃色に中心白色の美しい複色花色の第 3 世代選抜系統 828-18,および濃桃色の系統 937-C58(‘NAMAHAGE キュート’× 第 2 世代選抜系統 628-48)の 2 系統が新品種候補として有望と判定され,2022 年 7 月に,それぞれ ‘エターニティピーチ’ および ‘エターニティシャイン’ として品種登録出願した.2 品種の最大の特徴は,優れた日持ち性である.2020 年および 2021 年の調査で,2 品種の日持ち日数は,蒸留水で6.4~12.3 日(切り花用主要品種 ‘かまくら’ の 1.2~2.2 倍),GLA(1%グルコース,0.5 mL・L-1 kathon CG および 50 mg・L-1 硫酸アルミニウムから構成される品質保持剤)で 9.1~12.1 日(‘かまくら’ の 1.4~2.0 倍)であった.‘エターニティシャイン’ はエチレン処理に対する感受性が低く,落弁が生じにくかった.2020~2021 年に全国 5 カ所で栽培時期の異なる作型で栽培した切り花も同様の良日持ち性を示したことから,2 品種の優れた日持ち性は環境によるものではなく,品種特性であることが明確に示された.