農研機構研究報告
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原著論文
機能性成分高含有大麦摂取による体調への影響評価
木元 広実 野方 洋一河合 崇行長嶺 敬阿部 大吾吉岡 藤治山本(前田) 万里
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2024 年 2024 巻 18 号 p. 1-11

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抄録

ストレスなどが原因の軽度な心身不調(軽度不調)に悩む人が増えている.我々は機能性成分(β-グルカン,GABA,フルクタン)を多く含む大麦「北陸裸糯68号」を使った蒸し大麦(試験食)または標準的な大麦「イチバンボシ」の蒸し大麦(対照食)を44人の健康な成人に8週間摂取させ,体調(軽度不調を含む精神状態,排便状態,体組成)への影響を調べた.職業性ストレス調査票B領域を用いた主観による軽度不調の判定4項目のうち,「活気」の値が試験食群で対照食群より摂取8週後に有意に高く,「疲労感」の値が低い傾向があったが,「イライラ感」,「身体愁訴」では群間の差はなかった.精神状態の主観評価では試験開始からの変化で試験食群は対照食群よりも4週後に「心が穏やかである」,「熟睡感がある」で評価が高い傾向があったが,8週後は群間の差はなかった.また試験食群は対照食群より排便回数が多かったが両群とも正常な範囲内であった.体組成に群間の差はなかった.機能性成分高含有大麦の摂取が軽度不調の緩和や良好な精神状態もたらす可能性が示唆されたものの,その影響を明らかにするためには,引き続き摂取期間や客観的指標の追加などの検討が必要である.

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著者は自身の論文の著作権を保持し、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構に対し農研機構研究報告からの論文の出版を許諾する。
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