抄録
竜巻が建物を通過する際には,急激な気圧降下が生じ,それが建物の内外圧の差による差圧力を発生させる。本研究では,既往の突風風洞実験を活用した気圧降下による差圧力の検討実験の数値流体計算による再現を試みた。その結果,以下の知見が得られた。1)数値流体計算により,急激な気圧降下による内圧変動を再現するにあたっては,圧縮性流体として解析を実施する必要がある。2)数値流体計算により生じる防風箱内の静圧変動の符号と大きさは,圧力基準点の位置による。3)解析結果より得られた建物内圧は,既往の研究で用いられた内圧応答式により再現可能であり,本数値流体計算によって得られた内圧変動は妥当であると考えられる。