名古屋文理短期大学紀要
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食品包装の研究(第1報) : プラスチック包装材料についての一考察
市川 和昭
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1993 年 18 巻 p. 101-107

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抄録
時代のニーズに適合した優れた食品包装の実現を目的として特にプラスチック包装材料について素材の物性,包装技法および実用例について現状をまとめ問題点の解決について考察を行ない,その一つとしてオレフィンメタセシス反応の利用を提案した.これまでの汎用プラスチックは単一使用では何らかの物性上の欠点を有している.例えばポリエチレンは酸素等のガスバリヤー性,ポリアミドは水蒸気バリヤー性,ポリエステルは熱シール性が劣る等である.物性上の欠点の少ない塩化ビニリデンでは廃棄物処理時の有毒ガス等の発生の問題があり,また一般に従来の汎用プラスチックは生分解しにくいので廃棄物処理が困難で,再資源化しにくい.複合素材とすれば物性上の欠点はほとんどなくなるものの再資源化がきわめて困難となる.そこで物性に決定的欠点がなく,しかも再資源化できる単一素材包装材料の開発が必要と考えた.その一つとしてメタセシス反応によりポリマー鎖に不飽和鎖を含むポリマーを合成し利用すれば,大きな欠点がなくそして新たな機能をもつ包装材料が期待できると共に,使用済みポリマーは低分子アルケンを反応させてメタセシス分解を行なうことにより原料等への再資源化が可能となり問題解決に役立つと思われる.
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© 1993 名古屋文理大学
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