成人病予防のスクリーニングとして,一つの目安である肥満度の側面から,女子学生を対象に食嗜好,食習慣,食行動のライフスタイルを調査し,標準体重者との違いを探り,適正な体重維持につなげるべき方途の検討を行った.調査対象は本学食物栄養科2年次生のBody Mass Index(BMI)23.1以上の78名,対照はBMI20〜23の110名とした.調査期日は平成3年6月及び平成4年4月で,調査方法は食習慣調査,食品嗜好調査,味盲テストを行った.統計処理は,X
2検定,因子分析,重回帰分析を行い,重相関係数を求めた.結果として,肥満傾向者の食生活の型別に食習慣,食嗜好に特異性が目立ち,因子分析の結果,高エネルギーと野菜因子が抽出され,特にグルメ型は高エネルギー因子の得点が高く,ファーストフード型は野菜因子の得点が高く現れた.さらに,BMIを従属変数とした重回帰分析の結果,肥満傾向が強い者ほど油脂類を好み,野菜類を嫌う傾向が推測された.したがって,若い世代のファーストフードやグルメ志向,及び,繊維不足や高脂肪食品摂取の過体重への影響が強いものと予測され,食生活の型別側面から肥満解消の簡易対策として,特にグルメ型は動物性たんぱく質摂取を減らすこと,ファーストフード型は野菜摂収を増やし,規則的な食事摂収に心がけること等を推奨したい.
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