抄録
エポキシ樹脂等の絶縁性ネットワークポリマーの熱伝導率を高めるためには,繰り返し単位内にメソゲン骨格を導入してフォノン散乱を抑制する高次構造制御の手法と,ネットワーク内の橋かけ密度を増やしフォノン伝導を向上させる手法がある。前者の方が熱伝導率向上効果は大きいが,両者の組合せが最も有効である。さらに,コンポジット化するとメソゲンエポキシ樹脂特有のフィラー表面に形成されるフォーカルコニックドメイン(高熱伝導領域)の効果でベース樹脂の見掛けの熱伝導率が1.4 倍程度向上することが確認された。このコンセプトに基づいて,窒化ホウ素フィラーをランダムに高充填した構造にすると,厚さ方向の熱伝導率が41 W/(m・K)とアルミナを超える高い熱伝導率を示した。また,空間的に拘束されていないワニス状態からメソゲンエポキシ樹脂の球晶構造を形成させると,そのフィルム状硬化物は1.2 W/(m・K)とガラス並みの高い熱伝導率を示した。