2016 年 37 巻 6 号 p. 242-252
1,1- ビス(4- シアナトフェニル)エタン(E-CN)+シリカフィラー含有の薄膜系において,ビス(3- アミノフェ ニル)スルホン(3-DDS),1,3- ビス(3- アミノフェノキシ)ベンゼン(APBN),及び,1,3- ビス[2-(4- アミノフェニル)-2- プロピル]ベンゼン(BAM)等の芳香族ジアミンを用いると,速硬化が可能であり(200 ~220 ℃,数分で固められ),かつ,Tg ≧220 ℃,引張せん断接着強度10 MPa 前後を有する硬化物を得られることが明らかとなった。芳香族ジアミンの中で硬化挙動を比較すると,塩基性度が高い(pKb が低い)ほど,硬化触媒作用が強い傾向であった。一方,アセトアルデヒド/フェノールを出発原料としたノボラック型シアネート(E-CN-M)は,ホルムアルデヒド/フェノールを出発原料としたノボラック型シアネート(NVCN)に比べ,低分子量領域(重量平均分子量Mw <1000)においては,低粘度で取扱性に優れ,かつ,その硬化物は耐熱性及び長期耐熱性も高いことが明らかとなった。また,ノボラック型シアネート中のメチレン鎖にフラン環を導入することにより (FPRCN),長期耐熱性が高まった。