抄録
シアネートエステル樹脂をフェノール化合物で変性した硬化物では, 比誘電率, 誘電正接がともに低下し, 従来の硬化物よりも優れた誘電特性を示す。この誘電特性向上の要因として, フェノール化合物を取り込んだ2官能性のトリアジン環化合物が優先的に生成され, 緩やかな架橋構造を形成するため, シアナト基の反応率が高くなり, 硬化物内に未反応基として残存するシアナト基量が減少するためと推察した。また, 置換基が電子供与性で酸として弱いフェノール化合物ほど, 変性効果がより顕著であることが分かった。以上の結果から, 網目構造を修飾し低架橋密度とすることが, 誘電率や誘電正接を低下させるのに効果的であることを明らかにした。