2003 年 24 巻 3 号 p. 142-147
ジアリルフタレート樹脂は金属との接着性に劣るために, その改善が望まれている。本研究では, 構造中にアリル基とカルボキシル基を持つために, ジアリルフタレート樹脂のアリル基とエポキシ樹脂のエポキシ基の両方と反応するアリルエステル誘導体 (DAPY) を合成し, これをカップリング剤として用いたジアリルフタレート樹脂/エポキシ樹脂ブレンド系の接着性, および硬化物物性について検討した。エポキシ掛脂の配合により, 引張りせん断接着強さはジアリルフタレート樹脂と比較して最大約4倍の値にまで向上した。また, ジアリルフタレート樹脂が本来持っている優れた電気・機械特性を維持することができた。特に破壊靭性値 (KIC) は, エポキシ樹脂を配合することによりジアリルフタレート樹脂よりも大きい値を示した。一方, 耐熱性については, 熱分解温度はジアリルフタレート樹脂の値を維持したが, ガラス転移温度はエポキシ樹脂の配合量の増加とともに低下した。