2008 年 29 巻 2 号 p. 86-93
ジアリルフタレート樹脂の接着性向上を目的として、松から得られる炭素数36のダイマー酸にアミンを反応させたダイマー酸ポリアミド (PA) をジアリルフタレート樹脂に配合した。PA配合量増加に従って、銅に対するはく離接着強さは向上し、ジアリルフタレート樹脂と比較して最大2.0倍の値を示した。はく離接着強さ試験後の界面はく離表面の赤外吸収スペクトルより、銅とジアリルフタレート樹脂界面にアミド結合が局在化していたことから、ジアリルフタレート樹脂と銅の問で界面相互作用が働いていることがわかった。この界面相互作用効果とPAのタ習マー酸ユニットによる柔軟性付与により、はく離接着強さが向上したものと考えられる。一方、せん断接着強さについては、柔軟性付与による剛性低下の影響によりジアリルフタレート樹脂と比較して低下した。また、動的粘弾性挙動およびSEM観察からジアリルフタレート樹脂とPAが相分離構造を形成していることが明らかになった。